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多摩川は「未来」を探す場所。子どもたちが「楽しい」と社会は変わる
2023-10-21 21:06:10

体験した誰もが夢中になる川の中に棲む生き物たちを採る「ガサガサ」。多摩川流域におよそ40年暮らし続け、 東京を代表する河川・多摩川の自然観察をライフワークにしている俳優の中本賢さんは、水際の草が生い茂っているところの川遊び「ガサガサ」の第一人者!


ごみと洗剤だらけの多摩川。そこで出会った尊い「命」

中本賢さんは多摩川での自然観察をライフワークにされていますが、いつから?
本格的な俳優を目指していた30歳の頃。その当時、多摩川沿いのアパートに暮らしていてね。テレビや映画、舞台などの仕事なんか全然なくて、暇つぶしに息子を連れて、誰も居ない多摩川に通い始めたのがキッカケ。芸能人だし、誰も居ないってのが大きかったなぁ。(笑)
そもそも、浅草生まれの下町育ち。身近な川といえばコンクリートに囲まれた隅田川で、高度経済成長期の鉛色のスモッグの下で育った。自然の中で遊ぶことに、強烈な憧れがありましたねぇ。
多摩川は隅田川と違って、川がクニャクニャ曲がっているし、広い河原もある。ゴミだらけだったけど、可愛い草花やバッタに出逢えるし、この多摩川はめちゃくちゃに面白かったなぁ。
当時の多摩川は、今とは随分違っていたそうですね
多摩川は、江戸の食を支えて東京を育んだ川。長く身の丈を超えて酷使された歴史がある。山から湧き出た水は水道水として抜き取られ、代わりに行き場を失った下水処理水を廃水。だから息子と遊び始めたころは、昼になると洗剤の泡だらけになるし、濁った水は異臭を放っていた。でもねぇ、それでも僕が育ったころの隅田川よりはマシだったかな?
今は下水処理施設が整備されて奇跡的な自然回復を成し遂げたけど、まだ当時は子どもが泳いだり、魚を釣ったりするような川じゃなかった。まぁ、誰も居ないのは当然だよネ。
そんなある日、川の中に落ちていたヘルメットの中に魚が4尾いるのを見つけて「こんなに汚い川にも魚がいるんだ!」って、息子と一緒にとても驚いたなぁ。
モツゴという魚だったけど、どの子も可哀そうに奇形をしていた。ひとまず、初めて捕まえた魚だし、息子と相談して家に持ち帰って育てることに・・・。そしたら数日後、驚くべきコトが。なんと、水槽の中で産卵したんですよ・・・、驚いたなぁ。
「生きることを諦めない」、その姿に涙が出るほど感動した。

それがキッカケかなぁ~。今も雑魚と呼ばれるあまり注目されない魚ばかりが気になって。やっぱり、魚も俳優も「B級」がオモシロイ!(笑)



それ以来、多摩川の水、そこに生息する生き物、土手の草花に至るまで、多摩川のすべてを愛してきた中本賢さん。その活動が周囲に広がり、近隣小学校からも校外学習を行って欲しいというオファーがくるようになったそうですが…そもそも川は「良い子は遊ばない」場所だし、当時はまだ汚くて犯罪が起きそうなイメージが強かった。だから最初からスムーズという訳じゃなかったし、当然だけど反対する親御さんも多かった。先生方と相談して、川探検の校外学習に親御さんたちを招待。すると、子供たちの盛り上がりにビックリ。

それに場所が、汚い場所のはずの多摩川。生き物なんか居るワケないと思っているから、魚がたくさん採れて、またまたビックリ。今でもその時のカルチャーショックは話題に上がるよ。エヘヘ、子供より親の方が夢中になるのがオモシロい。家では見せることのない子供の姿から、地元の魅力に気が付く。父母の参加は、現在も年を重ねるごとに増えている。最近は休みの日に、家族でガサガサする親子も多くなり、いつの間にか「かつての自分」に重なっているのが・・・嬉しいなぁ。家族や地域そして学校も、真ん中に子供たちの笑顔。誰もが「幸せ」を感じる宝物かも知れませんね。


ガサガサを通じて、子どもたちに望むことは?多摩川は世界でも稀な良くなった自然。流域に約380万人が暮らし、東京都の水源のほとんどが河川で、80%が利根川や荒川の水、17%が多摩川の水を飲んでいる。今でも人知れず、多くの方々の努力により生き物たちが再生している。あまり知られていないけど、東京都の排水基準は国の定める一律の排水基準よりも厳しい都公害防止条例により東京都の下水道は、生活排水や工場排水が都内河川へ直接流入することはほとんどなくなり、下水処理場の処理能力が高まるにつれて多摩川の水質は改善している。そう、川をあの泡だらけにした下水処理水が、今新たな「資源」と変わろうとしている。こんな明るい未来を持つ自然、他にはないと思いますよ。多摩川は問題を探す場所じゃない。多摩川は未来を探す場所。子どもたちを多摩川へ。

まず多摩川に興味を持ってもらうことから始めると心に決めて川崎市教育委員の時代、先ずは教員の方々を対象にした「多摩川環境学習指導ガイド」を作って、小学校3年生は川原の自然観察をして馴染ませ、体力も好奇心も充実する4年生から川に入るとルール化したんだ。安全対策はもちろん、ライフジャケットを全員着けるという徹底した決め事でね。子どもが多摩川を好きになれば、家族皆さんも多摩川に親しみを持つ。その先には子どもたちが成長したら多摩川の将来を考える、そんな人たちを一人でも増やせればって、その当時から真剣に考えるようになって、その子たちは今でも「賢さ~ん」って手を振ってくれるよ。


それが嬉しくてね・・・(涙)いまで言う「地域おこし。子どもたちには故郷の環境を愛してほしい」って気持ち、今も変わらないね。毎年、初夏を迎えると鮎が何万尾も多摩川を遡ってくる今の多摩川。多摩川沿いに引っ越してきた頃には想像もできなかった、奇跡が起きたんだよ。僕が感じたように・・・、何も価値を感じなかった「多摩川」。価値の無いモノから、新しい価値に気付く体験。ガサガサから、明るい未来を感じてもらえたら嬉しいなぁ!

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D.Y.F.Cの歴史は、40余年。会員のお子さんにとって「その人生で最も感性豊かなときに、かけがえのない体験を」、そんな思いからダイワヤングフィッシングクラブは1976年に発足しました。この当時、コミック界では異色な釣りマンガが少年コミック誌で連載がはじまり、たちまち一大ブームが起きました。それまで大人の趣味であった釣りが、日本中の子どもたちに注目されることになりました。
温暖化の影響で年々海水温が上がり、秋冬といっても海の中は夏の色が濃い状態が続いています。それでも台風や低気圧で徐々に水温が下がり、今年も間のなく待望のシーズンがやってきます。